楽曲のクレジット掲載に関して、togetterに大変興味深いまとめがありました。
ストリーミング/サブスクリプションサービスにも詳細な楽曲クレジットを!
https://togetter.com/li/1377691
引用:togetter
CDのブックレットに掲載されている、詳細なクレジットを音楽ストリーミングサービスにも掲載して欲しいというお話。
音楽は沢山の人や想いから創られている作品だと私も思っているので、主さんの想いにとても共感しました。
そこで、もしLYRUCAにクレジットを掲載するとしたらどんな課題点が浮かぶかをリアルに考えてみました!
(ストリーミングサービスにクレジットを、というお話にも関わらずですが。笑)
検討した中での課題は以下5つです。
- クレジットの表記
- クレジットの単位
- クレジットの検索粒度
- クレジットの権利
- クレジットのデータ収集
LYRUCAで掲載するとしたらここが課題になりそうだな、という点をピックアップしましたので、
気になる点があればお気軽にコメントいただけると嬉しく思います!
それでは一つずつお伝えしていきます。
1. クレジットの表記
先ずは表記について。検索をするなら人ごとに表記を統一する必要があります。
ただ実際に検討していく中で同じ人物でも表記が異なる場合が見られました。
異なる表記例1:日本語とローマ字
作品によってクレジット名が「日本語」と「ローマ字」で表記が変わるパターンです。
例えばストリングスの「室屋ストリングス」を例にしますと、Mr.Childrenの「here comes my love」ではローマ字表記ですが、ST☆RISH(from うたのプリンスさま)の「ファンタジック☆プレリュード」では日本語表記になっています。
JASRACの作品データベースの権利者情報の表記はCDブックレットのクレジット表記とは一致していませんでした。
余談:JASCRAC表記
異なる表記例2:個人と団体
同じくMr.Childrenの「here comes my love」での「室屋ストリングス」の例ですが、
「KOICHIRO MUROYA(Strings)」「KOICHIRO MUROYA STRINGS(Strings)」と並記されていました。
こういった事例でも検索対象にした場合、別名義とすべきか悩ましいところです。
異なる表記例3:会社名の付与
作詞作曲家の上松範康さんの場合、「上松範康」「上松範康(Elements Garden)」のように、
会社名がつくつかないといったパターンがあります。
JASRACの作品データベースでは同じ人でも会社名の有無で別扱いになっていたりしました。
余談:JASCRAC表記
異なる表記例4:スペースの有無
名字と名前の間のスペースもちょっと厄介です。笑。ラブライブの楽曲でもよく作曲をされている「佐々木 裕」さんですが、公式サイト上のクレジットではシングル「乙女式れんあい塾」のみスペースが入っています。
それ以外は「佐々木裕」表記でスペースは入っていません。
名前が漢字4文字以上の場合スペースを入れない、というのが音楽業界?の中では一般的なのかもしれません。
うたプリ、ラブライブともにそのような表記ルールになっていたのが印象的でした。それでいうと「佐々木 裕」というスペースが入る表記は誤ってしまっているのかもですね。
余談:表記ルール
4つの例を見てきましたが、表記の整理の仕方は課題の一つです。
上記のような異なる場合を整理してデータベース化するのも一つの手ですが、『表記も作品の一部なのでブックレットの表記そのままがいい』というニーズもあるのではないかと考えています。
同姓同名で異なる御方という場合も難しそうですね。
2. クレジットの単位
クレジットを見てみると、曲に関するクレジットとCDといった作品に関するクレジットがあることがわかります。
バックバンドであれば曲ごとに、CDアルバムのジャケットデザインやプロモーションは作品に紐づくもの、みたいに。
明確に分かるものであれば問題ないのですが、例えばMr.Childrenのアルバム「重力と呼吸」のレコーディングスタジオのように、曲とスタジオが多対多の関係の場合もあります。
Recorded & Mixed at OORANG TOKYO STUDIO, VICTOR STUDIO, ABS RECORDING, STUDIO MECH, Bunkamura Studio
引用:重力と呼吸 / Mr.Children
レコーディングに関するクレジットは曲に紐づきそうなものですが、レコーディングスタジオが複数掲載の場合はCD単位にすべきか、データベース化する際に悩むポイントになりそうです。
またLYRUCAに限った課題ですが、LYRUCAでは曲への投票が主な機能なため作品単位のデータテーブルを持ち合わせていないという。。
作品単位のクレジットを掲載する場合は、データの持ち方もキーになると思います。
3. クレジットの検索粒度
クレジットが見たいファンの方々はどこまでのレベル感で検索できた方がいいのかによっても実現性は変わります。
というのも、『クレジットに○○さんが載っている曲』程度であれば、文字検索でいいので実装難易度は易しくなります。
しかし『○○さんが編曲した曲』『○○さんがコーラスで参加している曲』のように、役割も含めて検索したい ということであればデータの持ち方を細かくする必要がでてきます。
しかし細かくするにしてもアーティストの作品ごとに表記が異なるため、データの持ち方も丁寧に検討する必要がありそうです。
Illustrated by 藤岡真紀
Painted by ホカリカナコ・森田真由
Finished by 安部貴俊
引用:ウルトラブラスト / ST☆RISH
Jacket Illustration 作画:室田耕平 仕上:横山さよ子 背景:守安靖尚 特効:山川明子
引用:思い出以上になりたくて / lily white
作詞・作曲・編曲といった、統一しやすい項目はデータカラムとしてそれぞれ持ち、他は「その他クレジット」という形で一括して持つのが開発視点ではやりやすそうです。
といっても、JSON形式で持たせることで表形式に表示させることは可能です。参考までにLYRUCA内で1曲掲載してみましたので、良ければご覧ください!
here comes my love / Mr.Children
リンク先:LYRUCA
4. クレジットの権利
4つ目は権利の問題。
クレジットにも権利があり表記するためには許可が必要かどうか、です。
権利者情報を明記することはOKにも思えそうですが、CDを買わないと見れない情報という考え方になると掲載にもライセンス料が必要になるのではないかと。
LYRUCAとしても正しく運営したいので権利承認が必要であれば手続きを行うつもりではいますが、JASRACのようにクレジットを表記の許可を出してくれる団体がいるのかが 今のところ分かっていません。。
詳しい人がもし本記事を読んでいただけているのであれば、アドバイスをいただけると大変うれしく思います。
5. クレジットのデータ収集
最後はやはりデータ収集です。
表記ルールを整理し、データの持ち方も決め、権利関連もクリアできたとして、最後の課題はクレジットの情報をどうやって集めてくるかです。思いつく策は2つ程あります。
1つは「権利者から共有いただく」方法。
ただ、多くの権利者とコンタクトを取り情報を集めるのはなかなか難易度が高そうです。
2つめは「ユーザ入力型」でWikiのようにファンに入力いただく方法。
広く情報が集まりそうである一方、クレジットの表記ブレといった整合性を保つのが難しそうに思います。
この辺りもファンの方々と相談しながら良い方法を模索したいところです。
まとめ
クレジット表記をするための、課題になりそうな点5つを列挙致しました。
その中で意見をいただけると嬉しいのは以下の4つです。
(1)表記はCDに記載されているままが良いか、検索しやすいように適宜修正した表記でも良いか
(2)検索の粒度はどこまでを希望しているか(掲載しているかどうかのみでOKか、○○がストリングスで参加している、といった細かく指定できた方がいいか)
(3)クレジット掲載の権利関連のアドバイス
(4)クレジット情報の収集方法のアドバイス
参考にさせていただきたいので、コメントに意見を書いていただけると嬉しく思います!
引き続きクレジット表記については検討を重ね、試行錯誤しながら掲載する方法を見出していければと思います。
長文となりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!