須田景凪
生まれてきたから 疑わずに歩いてきた 歩いてきたから 色んな物を置いてきた 夏に潜んだ寂しさも 秋に閉ざした価値観も 多くの覚えと告げた別れがあった 鮮やかなままで焼き付いていたいと 優しい眼差しを押し退けてしまったね 今なら痛みも厭わないから 僕らの願う不様な未来に間違いはないと思う 離れてきたから 今があるとわかっている わかっているから 余計夜が深くなる 冬に溶かした熱情も 春に生まれた浮遊感も 多くの景色を塗り潰して重ねてきたんだ 綺麗事だけなら上手く愛せるのに 相応しい退屈も同じ様に残るでしょう 拗ねた癖さえも愛せるように 僕らの願う不様な未来は美しくあると思う この先ずっと何もかも手離せぬものが増えていって きっと馬鹿らしく映ってしまうのでしょう それならそんな下らない言葉など全部捨て去って 一瞬咲いた光でさえあればいいから 過ごせば過ごすほど足りない何かに 満たされてしまいそうで恐ろしくなるけど 確かな事など一つもないから 確かな今に花束を捧げよう 鮮やかなままで焼き付いていたいと 優しい眼差しを押し退けてしまったね 今なら痛みも厭わないから 僕らの願う不様な未来に間違いはないと思う