須田景凪
青嵐が吹いて鶲は歌った 染まっていく夕凪をただ見ていた 遠くで雷が鳴った 水滴が這った こころが弾けて止まないや にわかなサイレンが空を裂き 雲が晴れる 夏の幽霊になって 星の落ちる街を見下ろしたい 笑って 晩夏に思い出して 喜雨は君の為のものだ 他の誰かに渡る日は来ないだろう 並んで比べた背丈はもう覚えてないけれど 砂上に曝した忙しない美徳は 見当のつかない所へと歩いていた 容易く朝顔は散った 炎昼は去った かすみが生まれて仕方ないや 膨らんだ天日が渦を巻き 夜風になる 暮れの背景になって 陰るしじまをまた弔いたい 笑って 涙を濁さないで 乱反射を切り裂いて 末始終に耳を傾けて欲しくて 渡した手紙は白紙の様な文字の羅列だけど 君と夏の幽霊になって 遠い逃げ水へと消え去りたい 笑って 晩夏に思い出して 全て君の為のものだ 空も熱も抱く大きな穴でさえも 並んで比べた背丈はもう覚えてないけれど
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