Novelbright
涙を覗いて 見渡す世界は 澄んだように見えて 曖昧に滲んだ あたりまえに慣れて 流れる昨日に くだらない言葉ばかりが散らばってた また、いつものように今日が終わる 風に泳ぐ泡 静かに弾けて 名前を呼んでも戻らない ただ息を繋いでいる鼓動だけが 聞こえる どれほど愛を注いでも こぼれる命は満たされない 「おやすみ」さえ言えないまま ずっとずっとそばにいて 寝顔を眺めていた 独り言のように あなたと話して 淡く揺れる陽は 心を歪めて 何が正しいか 問いかけることなく 理想が残した轍を踏みしめてた 今を貪る温もりが 間違ってたのか それすらわからない あなたを守るはずの手が ただ現実を引き裂いて いつのまにか壊れていく この血が白く染めてゆく 生きている愛がここにいるから 錆びつくナイフのように ぐっとぐっと突き刺さる あなたの呼吸が ほらまた春が終わるよ 絶えずに触れた優しさはもう ひび割れた季節に紡がれ そっとそっと冷たくなってゆくよ 行くんだね、扉を閉ざして 聞こえない足音が響いて 「おやすみ」今度は言えたよ きっときっと届くから 星が眠るころに