ナイトメア
揺れた、窓枠がきりとる灼けた視界。 四角い景色が連れてきた過去の自分。 ただ色褪せゆく追憶に、今足りないものを拾った。 痛いくらいに降り頻く太陽の棘。 見上げては手を透かした。 鈍色に輝いた刹の季節に、潤み色の熱は消えた。 あのとき、無駄に背伸びをする自分がいた。 「あと幾とせの夏を越せば大人になれる?」と指を折った。 「真上から見下ろせばすべてが見える、嘘や醜さもすべて。」 太陽がそう語るように思えた。 幼さが可笑しく、笑った。 真昼の月が耳元でそっと囁いた。 この瞬間、今は二度も訪れてくれないと。 大切なこと、大事なもの、拾い集めて、今を生きる。 五月蝿すぎる蝉の音さえも遠くにかすむ。 あの日には戻れない。 わかり切ったそんなことすらも息を吹き返す夜。 痛いくらいに降り頻く太陽の棘。 見上げては手を透かした。 鈍色に輝いた刹の季節に、潤み色の熱は消えた。