日食なつこ
音を立てて回転を続ける映写機はかたかた 半透明のフィルムはどれもこれも青い色だ お世辞にも面白いとはけして言い難いような中身だ 僕が生きた端っこから巻き取っていく青いシネマ ここぞという時の救世主 悪役 ただの通行人 次々役は変わるけどいつも僕が主人公です 夢見がちな脚本は日々修正入れる始末です 今日という日は筋書きの 中か上か下かどこなのか 最善を尽くすように 努めることをここに誓います 最短経路になるような道は 選ばないこと誓います いつか思い出と名付けて遠くから眺めることになる その青い時間の只中に今日の僕はまだいたいの 流れるように過ぎていた毎日はいつしかつっかかって 誰の思いも肩代わりするひまなんてなくなって 捨てたくなるよな脚本だって続きを書くこと 許されるんなら幸せだ 振り払ってよ青いシネマ さっさと思い出と名付けて遠くから眺める日々で楽をしたい 誘惑のかけひきに今日の僕はまだ勝てるか 絶望するような陰りの日々さえ いつか思い出と名付けて遠くから眺める日が来たなら この手は届かない 欲しがったって戻れない 痛い辛いと嘆いた夜にすら戻りたいとか抜かすだろう だからいつか思い出と名付けて遠くから眺めることになる その青い時間の只中に今日の僕はまだいたいの